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廃食油からBDF(BIO DIESEL燃料)製造

このページは、現在、当研究会が一番力を入れているバイオアマスエネルギーである、てんぷら油など廃食油から精製するバイオ・ディーゼル・燃料「BIO DIESELE FUEL」(BDF)に関するものを中心に構成されています。 BDFって何か、触媒って何かなどの多い、お問い合わせに対する回答でもあります。また、研究会誌にも同様の特集を組んでいます。

約4時間で30リットル程度が精製できるMAX20プロトタイプ
(高さ1560×450×550)

(製造原価はおよそ45円〜50円/ℓ)

新触媒(BioMAX)専用BDF製造機完成!

 研究会の結論として、旧熊本工業大学の池永教授とバイオマス・ジャパン株式会社との共同開発から生まれた新触媒BioMAXを使った製造法を採用することになりました。その理由は一般化されている強アルカリ触媒での危険性は、その製造過程が職人芸的な専門性を必要としていて 、実態としては知的障害者や女性、普通の市民の作業を困難にしていること。高圧や高温を必要とする超臨界方式などは、高度な機械的、技術的な装置の開発が求められ、これも街中や施設内でのプラントにはリスクが大きく、また私たち市民レベルでは難易度が高いこと。
 その点、この新しい触媒は、100度の加温、メタノール還流ができるといった専用の装置があれば、これらの欠点を克服し、前処理工程での水分除去や触媒の投入量を決定する酸価測定など、後処理工程では製品の洗浄や洗浄水の浄化処理といった工程が 簡単あるいは不要に近いなどの安全で時間が短縮されるというメリットがあります。
 また、今までは重荷の副生物のグリセリンも、同時に開発している専用ストーブの活用により、灯油や重油が高騰している時期におけるビニールハウスや温室での利用という付加価値になってい ます。
 そこで現在、新触媒専用のプロセッサー(BDF精製装置)を開発し、販売することになりました。価格的にも市民団体や作業施設などが導入しやすい金額に押さえることで、各地域の自立的なBDF製造を促進できると期待されます。現在、MAX100は温泉地の旅館などに導入されています。 私たちの基本的なスタンスは、市民団体や障害者施設などが導入することで、廃食油回収から精製、仕様までの循環型地域社会を自分たちの力で創るコミュニティ・ビジネスの支援になることです。

簡単なBDFについては「バイオマスとは?」のページをご覧ください。
ここでは基本に返ってやさしくBDFが出来るまでを報告しておきます。

<原料研究>廃食油研究

まずBIO DIESELE FUEL(以下BDFと呼びます)の意味は、ディーゼルエンジンの燃料ということです。ご存知のようにエンジンにはガソリンエンジンとディーゼルエンジンがあり、どちらも発明時はエタノール(アルコール)やピーナツ油で開発されたのですが、20世紀が「石油の時代」と呼ばれたように、これらのエンジンも蒸気機関も全て化石燃料である石油を中心とするガソリンや軽油になってしまった訳です。そして、その問題は枯渇する埋蔵資源であり、地球温暖化の元凶としての温室効果ガスや公害問題として現代に来ていることは繰り返しになりますので割愛しますが、ここには大量生産大量消費や格差社会を前提とする「エネルギーと公正」に大きな課題がある、人類のライフスタイルにも根本的な問題があることも忘れてはならないと思います。

さて、どちらにせよ、エネルギーの原料を化石燃料である石油の代替へという道は、サスティナブル(持続可能性)をもった自然エネルギーや植物、廃棄物などのリサイクルになるのは必然です。ですからBDFの原料は、「エネルギー作物」としての食物とバッティングしない、植物から採取された油(バージン・オイル)か、私たちが考えるてんぷらなどの廃食油からのリサイクルしかない訳です。

ひと口に油といっても「油脂」や動物性「膏」という漢字が示すように、「膏」を除いた常温で液体の植物性の「油」か、固まりやすい「脂」が混在した廃食油をBDFの原料としています。この「油」の中には植物の種類によって代表的な菜種、大豆、コーン、紅花、ひまわり、ごま、オリーブ、米など。動物でもイワシのような魚油があり、「脂」にはパーム、ヤシ、動物の牛、豚(ラード)などが分類されます。燃料に適しているのは当然エンジンの中を流れて燃えやすいものという点から考えて、固まりにくい液体の「油」だということはわかるでしょう。できれば「菜の花プロジェクト」のように単一のバージンオイルの方が加工しやすいことになります。

BDFの燃料にリサイクルする前提で廃食油を回収する場合もできるだけ「油脂」を混ぜないとか、油こしで浮遊物を取り除く作業が、結果的には精製したBDFの品質をよくする前提になります。回収作業も家庭や事業所から出てきた段階でいきなり混ぜないで小口で出たまま分類するなども必要かも知れません。

 

<製造研究@>エンジンの燃料研究

軽油の代わりにディーゼルエンジンを植物性もしくは動物性の油脂で動かすには、少なくとも次の3つの方法があるといわれています。つまり、石油代替燃料には3種類あるといえます。
1.油をそのまま使う(SVO: straight vegetable oilと呼ばれる)
2.灯油や軽油と混ぜて使う(流行りはバイオディーゼル燃料と軽油を混ぜる)
3.油をバイオディーゼル燃料に作り替えてから使う

インターネットで調べると世界中で自作などでも様々に挑戦している情報が検索できます。ディーゼルエンジン、特に昔のものは結構丈夫で、1の方法でも走行できるという報告はありますが、長期的にはエンジンが壊れるようです。また、この場合、バージンオイルが多いようですが、廃食油でもアメリカのカリフォルニア州などでは、自動車エンジンにある機器を取り付けることでSVO車として走行している例などもあります。

次の2の方法、これも丈夫だから何を混ぜても案外走るのですが、今話題なのはBDFと軽油を混ぜる燃料のことが多いようです。BDFと混合するだけでもコスト削減や環境対策になるという点で、外国では軽油に5%のBDFを混合した「B5D」や20%混合の「B20」などがスタンドで販売されている例がありますが、日本では品質基準や法体制が整備されていないこともあって、また混合するとBDFに軽油引取税がかかるなど現実的には販売されていません。

最後の3番目の方法が、現在、私たちが研究している軽油代替燃料であるBDFのことです。そして、このBDF100%で走るか、軽油と混ぜるかで3と2の方法の違いにもなる訳です。当然、エンジンは燃料が燃えることで動く訳ですから、流動性(粘性)と燃焼効率(セタン価)がいいことに決まっていますから、植物油などを軽油レベルまでの燃料化できるかどうかがBDFの課題になります。

 

<製造研究A>BDF製造は化学反応

そこで、どうやれば植物油や廃食油が軽油並みの燃料になるのかという問題に移ります。繰り返しになりますが、植物油や動物油のままでは粘度が高く、加熱しないとエンジンの燃料としては適していません。だから、軽油並みの粘度やセタン価にしなければならない訳です。それがBDF精製・製造のポイントです。

現在のところその方法は、植物・動物油(トリグリセリドという物資)にメタノール(メチルアルコール)を混ぜ合せて「エステル交換」という化学反応を起こさせて、アルキル・エステル(Fatty Acid Methyl Ester)とグリセリンに分離させることです。このFAMEを「脂肪酸メチルエステル」と呼びますが、要するに、これがBDFといわれる正体です。
そして、この際、反応を促進させる方法に「触媒」を使う方法と、触媒なしで行なう方法があるのです。また、化学的に合成されたメチルアルコールでなく、植物性のエタノール(エチルアルコール=お酒)を使う方法なども研究されていますが、今回は特に触媒の違いに焦点を当てています。

トリグリセリドにメタノールを混ぜただけではエステル交換反応は起こりません。燃えるとしてもそれはメタノールが燃焼したに過ぎないのです。そのエステル交換反応を促進させるために現在もっとも主流が「触媒法」という方法です。また、メタノールを高温、高圧にする、その臨界点(239度C、8.09HPa)を越えるという「超臨界法」やその下の「亜臨界法」で交換反応を促進する「無触媒法」が研究されています。私たちもこの「超臨界法」を研究しましたが、小さな圧力釜や電子レンジは作れても、それを一定の大きさにするには、液晶、プラズマや有機ELDとまでは言わないまでもかなり高度な技術革新や設備投資が必要で、市民レベルでは断念せざるを得ませんでした。

 

<製造研究B>エステル交換の触媒

そこで「触媒法」の研究段階で、新触媒のBio MAXに出会った訳ですが、まずは触媒のことを簡単に説明しておきましょう。触媒は、原料のトリグリセリドとメタノールのエステル交換反応を促進する「仲人役」のような存在です。今、もっともポピュラーなのが水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)や水酸化カリウム(苛性カリ)などを使うアルカリ触媒です。他に、硫酸やフッ酸などの酸触媒、金属酸化物を用いた固体触媒、酵母菌体などの生物系触媒などがあるようです。
触媒での課題は、例えばアルカリ触媒は、実は触媒として苛性ソーダとメタノールとを混ぜて事前に「ナトリウムメトキサイド」という溶液を準備することになるのですが、この混合液が危険度が高い物資だということです。例えばネットでのあるレシピ(作り方)での注意書きにはこうあります。「メタノールは飲み込まなくても皮膚から吸収され盲目や死をもたらす恐れがあります。水酸化ナトリウムは重度の火傷や死をもたらす恐れがあります。この2つの物質を混ぜたナトリウムメトキサイドは非常に腐食性のある化学物質です。安全のためマスクを装着し、全身を保護した服装で臨むこと。半ズボンとかサンダルは絶対ダメ。長袖の上に止められる耐薬品手袋も忘れずに。万が一のときに薬品を洗い流すため、流水を近くに用意しておくこと。小さな子供やペットを作業場に入れないこと。化学物質は適切な取扱いをしてください。」 つまり、苛性ソーダなどは劇物指定品であるばかりか、メタノールに溶かしてナトリウムメトキサイドを作る作業工程が一番危険だということです。そして、原料が廃食油の場合は特に、ナトリウムメトキサイドを作る際や完成時の遊離脂肪酸(酸性)と中和させるためにそれぞれを適量にするためにきちんと計らなければならないなど、ある種の職人芸のような慣れが必要なことです。つまり、知的障害者や女性など、普通の市民に協力をお願いするにはかなりのリスクがあることが問題でした。そして、なぜ私たちが最初に無触媒法の超臨界方式に惹かれたかご理解いただけるでしょうか。

 

<BioMAXでの製造>新触媒のメリット

BioMAXという新しい触媒は、ほぼ中性で、食塩のような粒子です。普通の水に溶かして水溶液として使用することも可能です。強アルカリや酸のような肌に触れても危険はありません。空気に触れても変化しにくいので保管も簡単です。欠点は、まだ生産量が少ないために安い苛性ソーダなどから比べれば単価が割高になることですが、コミュニティ・ビジネスとして考えれば、現在のように軽油が110円以上ならば十分競争力もあり、収益性も考えられます。何しろ事業での危険性や熟練が不要というメリットは障害者や高齢者などのNPO的な団体や組織の運営するコミュニティ・ビジネスには不可欠だと考えます。BioMAXは劇物指定品外であり、メタノールに溶かす作業も必要ないのです。

さらに、そうした工程の簡略化や水洗いなどの工程が不要なため、従来のアルカリ触媒方式などの要した時間のおよそ半分の時間で精製できること。水洗いでの汚水処理施設などが不要なため、製造機以外のコストが低いことなどのメリットもあります。しかも、職人芸が少ない分、精製の失敗や品質の不適格が少なく、誰でもが同じように作れるなどこの触媒での用途を広げていると考えています。

 

<BioMAXでの製造>専用製造機MAX

新触媒Bio MAXを使ってBDFを精製するには、専用の製造機が便利です。現在は株式会社バイオマス・ジャパンがMAX100という大きなプロセッサー(製造機)を開発・販売しており、有限会社セルフが小型のMAX Miniというプロセッサーを開発、それぞれ販売代理店となって協働事業化に取り組んでいます。ただし、水洗いが不要な分、フィルター装置を後処理で使うように勧めていますので、その機器が必要になりますが、現在はオプションという販売でなくセットでの購入法にしています。
事業系の企業や行政は大型プラントなどで日産がどのくらいできるのかに関心があります。例えばMAX100は、100リットルのバッチ式ですから、1回で100リットルの廃食油(BDFは約95から90リットル)が、他の触媒方式の半分で作れることになります。おまけに攪拌がすんで静置するタンクを別に用意するだけで、並行して200リットル、300リットルと連続で作ることも出来ます。生産量が多くなればなるほど、プロセッサーの台数を増やしたり、プラント方式で流れ作業ができるような設備投資が必要なのはやむを得ないでしょう。しかし、最近は事業者が増えて供給する廃食油が不足して回収が間に合わない地域も出てきたり、廃食油買取価格の高騰などが問題になっているところも出始めています。そうなると一度作ってしまえば、日産の精製量より、むしろ回収システムの安定が事業化の鍵かも知れないのです。

 

<BioMAXでの製造>MAX Miniのメリット

それに比べ、欧米のように最近増えている個人需要や市民活動団体などの実態はどうでしょうか。地球温暖化対策に関心のある個人や団体が自分用のガレージや集会所、作業所の片隅に置いて、廃食油が小口で集まったらBDFに精製する。自分たちの自家用車や施設の作業車に使うとすれば、まず小型で少量でも精製できる。置く場所に邪魔にならず、使わないときにはしまえる。家庭用電気(100V15A)のコンセントから電力が取れて、普通の水道水や流し台があればいい、といったことが考えられませんか。ラーニングコストより、あるときだけ使えて、自家用車なら月に100リットルも使うでしょうか。
MAX Miniの製造コンセプトはそういいった需要をターゲットにしています。同時に、地域でのデモンストレーションやイベントでの出し物、地域での農機具や建機、公用車などに使うことで温暖化防止活動を推進するなど、それでいて採算ベースが取れたり、障害者の労働意欲や雇用の確保に貢献できるとしたら、コミュニティ・ビジネスの大きな武器になるのではないでしょうか。まさにMAX Miniのメリットはそこにあるのです。
ですからMAX Miniは1箇所に製油所を集中するのではなく、むしろ廃食油を出す現場に近いところ、例えば天ぷら屋さんやドーナツ屋さんのお店の近くなどに設置することで誰でもが自分でBDFを作れるようにと考えています。大きなプラントで安く、大量に精製できたとしてもそれを運ぶためにエネルギーを消費してはいかがなものでしょうか。自分たちの身近なリサイクルで、自分たちの必要なエネルギーを賄うという地産地消、エネルギーの自給率を向上させるのもこのプロセッサーの意図するところです。

こんなに簡単に、こんなに短時間で、こんなに安全に、と今までのアルカリ触媒などでの経験者ならこのすごさがわかるはずです。

<MAX MiniでのBDF製造レシピ>

最後に具体的なBDF製造の作業レシピを示しておきましょう。詳しくは導入段階でマニュアルや研修会を用意しています。また、まだ試行錯誤の段階でもあり、今後、もう少し工夫やアイデア、改良なども出てくるかも知れませんので、これはひとつのイメージともお考えください。さらに、時間をかけても精製量や精度を確保したいやり方と、時間を短くしてやりたいという考え方の違いで多少の差が出ることも予めご理解ください。

@前処理(※廃食油なのでどんな油が出るか、ラードが入っていたりと差があります。)
 まずは油カスは取り除く、水分があるのも飛ばしておいた方がいいので、作業前に廃食油を金網で濾したり、一度MAX Miniに入れて100度に設定して水分を飛ばしておくといいかも知れません。もちろん、油カスがないように見えたらそのまま前処理なしでも出来ます。

A廃食油を入れて60℃に加温します。(前処理で行なった場合は反対に放置して冷やす。熱いところにメチルを入れると飛び散り危険です。十分に下がるまで放置します。)

B廃食油に触媒BioMAXとメタノールを入れて、モーターで攪拌しながら加温します。(メタノールの沸点 で還流装置が働きます)

Cおよそ1時間攪拌加温、触媒が溶けて見えなくなったら止めて、1時間静置します。この段階で上にBDF、下にグリセリンが分離しますので、時間になった栓を開けてらグリセリンを抜き出します。

DBDFが中性かどうか確認して、必要なら中和剤や酸化防止剤を入れて攪拌します。

詳しい製造レシピは購入した方にお知らせしますが、ここでは割愛させていただきます。

ただ、強アルカリ触媒法などと比べて簡単だということがご理解いただければと思います。

(プロセッサー製品はオープン価格)

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